Shirley And Dolly Collins

2020年9月8日 / 最終更新日時 : 2022年12月2日 yoo-gto@zj9.so-net.ne.jp Shirley And Dolly Collins

学生街の喫茶店 BGM : Shirley And Dolly Collins

シャーリー・コリンズ(Shirley Collins)と言えは、
６０年代英国の “フォーク・リヴァイヴァル” を代表する
女性シンガーですが、

妹のドリー・コリンズ(Dolly Collins)とのデュオで、
１９６９年に、英国古典楽曲を取り上げた大作

Shirley And Dolly Collins
『Anthems In Eden』

を、完成までに８年の年月をかけて発表しています。

古典楽曲を丁寧に再現した演奏と、
透明感が有りながら力強い歌声には確かに圧倒されます。

ただ、個人的な愛聴盤というと…

ちょうど発売された当時(７８年)にイギリス盤で購入した

Shirley And Dolly Collins
『For As Many As Will』

やはり英国古典楽曲を扱っているのですが、
大作『Anthems In Eden』と違って
リラックスした内容の小作品。

７８年当時、わたしが通っていた大学の周辺には、
小さな個人経営の、いわゆる “喫茶店” が何軒かありました。

その中でも、同じサークルの友人たちと頻繁に通っていた
いかにも英国風の造りのお店。

外観も英国の民家風で、
外階段を上って２階のドアを開けると、
内装も、腰壁を回した英国風。
趣のある木製のテーブルと椅子。

ご夫婦で経営されていたお店でしたが、
ママさんは、昔ジャズ・シンガーだったそうです。

当時は普通の喫茶店でも、
持ち込んだレコードをかけてくれるお店が多く、
その日も、買ったばかりのこのアルバムを
ママさんにお願いしてかけてもらいました。

ゆったりとした古楽の調べと、やわらかく膨らみのある音が、
その店の内装や、コーヒーの香りと溶け合って、
窓から差し込む、春の午後の日差しと共に、
わたしの記憶の中に、

忘れられない“春の風景”を残しました。

また、別のお店ですが、
カウンターと、壁面にテーブルが少し…
と言う、バーのような内装で、
店内の照明もすこし暗めの小さなお店。

やはりご夫婦二人で経営されていたと記憶しています。

そのお店でも、よく持参したレコードをかけてもらっていましたが、
冬の遅い午後、その日ターンテーブルに乗せてもらったのは、
カナダのシンガー・ソング・ライター、
ブルース・コバーン(Bruce Cockburn)の『High Winds White Sky』

雪に覆われたカナダの森、というジャケットのせいもあって、

シンシンと降る雪の夜。
ほの暗い部屋の中で燃える暖炉のような、
暖かく優しく包み込まれる安心感…

ここでは“冬の風景”が、記憶に焼きつけられました。

音楽と一緒に、季節やその時の空気感を
記憶の中に封じ込める事ができる “装置” を、
あの頃の “喫茶店” は持っていました。

歳を重ねた後でも、
季節の光や、香りや、そして音楽によって、
記憶の奥から、フッと立ち現れる
様々な感情を想起させる “風景” 達。

そういった “宝物” を、心の奥に残してくれる

“学生街の喫茶店”

といえるお店が、

今でも沢山有りますように…

Shirley And Dolly Collins 『For As Many As Will』(1978)

A-1 Lancashire Lass
A-2 Never Again
A-3 Lord Allenwater
A-4a Can Love Be Control’d By Advice?/O Polly You Might Have Toy’d And Kist
A-4b Oh What A Pain It Is To Part/The Miser Thus A Shilling Sees
A-4c Youth’s The Season Made For Joys/Hither, Dear Husband, Turn Your Eyes
A-4d Lumps Of Pudding

B-1 Gilderoy
B-2 Rockley Firs/Sweet Jenny Jones
B-3 German Tune
B-4 The Moon Shines Bright
B-5a Peas, Beans, Oats And The Barley
B-5b The Mistress’s Health
B-5c Poor Tom