なんか… 沼?… ちいかわ

 ちいかわ沼にハマってしまった…

ちいかわ なんか小さくてかわいいやつ

 女性イラストレーター・ナガノさんの生み出した、実にあいくるしい二頭身のキャラ達。 以前からその存在だけは知っていたが…

 2022年の4月からフジテレビの “めざましテレビ” 内で放映が始まったショート・アニメーションを初めて目にしたのは、たまたま遠方での仕事の為に早起きした朝の事。 それが7月15日放送の第16話「キメラ/イヤ」

 一見穏やかなファンタジー感あふれるちいかわワールド。 しかしそのフィールドには、危険でシュールな危ない奴らが日常的に同居している。

 突然ちいかわの前に現れた危ない奴・お面(?)キメラ

 ちいかわは、ただただ涙目で「イヤ! イヤ!…」と繰り返すだけ…

 なんか… 諦めて立ち去るキメラ。 うるうるしながら涙目での勝利宣言?!

 なんなんだ?? これは!?

 あいくるしくも切ないちいかわのこの表情が、なんか… メンタルやられた! という感覚と共に、ずっと脳裏に焼き付いて離れなかった。

 そしてその後、明星食品のチャルメラのテレビCM「チャリメラ篇」に出会ってしまった事で、ちいかわ沼がわたしのメンタルをジワジワと蝕んでいく事になる。

 4月29日に放送されたアニメーション第5話「チャリメラ/チャルメラ」のリメイクに、タレントの本多翼が実写で登場し、ちいかわネコのハチワレと共演するこのCM。

 「食べる? チャメラ」…と、ハチワレ

 ハチワレの勘違いに気づくも、なんか… 指摘するのも悪いしぃ… と、おどおどしながらの気弱な「チャル…」

 エンディングで本田翼「チャメラ」という商品紹介にかぶせて、しっかりと「ル!」と主張するちいかわ

 このCMでのちいかわのセリフは、この「チャル…」「ル!」の二言だけ。 たったこれだけのセリフで、ここまでのニュアンスを表現できるちいかわ役の声優のスキルに驚かされてしまった! (後に、この声優・青木遥さんが2011年生まれの小学生だと知り、さらにビックリ!!)

 後にオリジナルアニメ「チャリメラ/チャルメラ」を確認したところ…「チャル…」のニュアンスは、CM版の方が格段に進化したものになっている!

 更に10月7日放送のアニメ第28話「ポシェット/使ってま~す」でも、ちいかわのセリフは、前半では様々なニュアンスの「ふん」のみ!!

 ポシェットほしいなぁー… の「ふぅーん…」

 ハチワレ「ポシェットほしいんだ」と聞かれて… そうなんだけど… の「ふん」

 「色とか迷うよね」と言うハチワレに、あ…くまさんのにしようなかな… の「ふぅん」

 これどうかな?… の「ふん」

 ハチワレ「似合う似合う!」と言われて、これにするぅ! の「ふん!」

 草むしりや討伐で一生懸命貯めたお金で、思い切って買っちゃう! の「ふぅん!!」

 ポシェットの裏側に穴が開いてるのに気づいて、あっ… それヤダ… の「ふん…」

 穴に気づいたハチワレがしっかり指摘してくれたおかげで、鎧さんがキレイナのを用意してくれたので、ハチワレ…ありがと! 鎧さん…いい人で良かった… の涙目での「ふぅーーん」

 ちなみに… ナガノさんのオリジナル漫画での、この回のちいかわのセリフは…

 この程度… 

 ちいかわワールドでは、あァ… とか ウー…ン とか… まともに言語を話さないちいかわ。 その表情と身振り手振り(あるいは、ハチワレによる翻訳)だけでストーリーが展開していく。 

 ちいかわが発するその僅かなセリフのニュアンスを音声と言う形で表現する事に、アニメーション版は見事に成功している!!

 ナガノさんの感性と、生み落とされたちいかわの世界観に見事に共鳴し、原作に対する深い愛情を感じさせるこのショート・アニメーション!!

 ちいかわワールドにさらなる奥行を生み出している!!

 ちなみに、このくまさんポシェットちいかわのお気に入り!

 ボロボロになってしまったカバンの代わりに、その後も度々愛用するシーンが描かれる。 

でも…小さいので… いつも詰め込みすぎてパツンパツン…

 わたしの場合… アニメーション先行ちいかわに出会ってしまった訳だが… 気付くと現在発売中の単行本全4巻を通読する事に……

 しっかり沼に足を踏み込んでしまったぁー!

過酷なちいかわワールド…

 明るく緑に満ちた野山と、インターネットさえ備わった近代的な街。 しかしそこは、危険な “あぶない奴” 等や “キメラ” “擬態型” が普通に同居するシュールな緩めのデストピア

ぎちぎち・キメラ・擬態型

 また、ちいかわ達の生活環境も、けして豊かなものではない。 鎧さんと呼ばれる人型の種族がこの世界をある程度管理している。 歯茎むき出しのダースベイダーの様な外見に似合わず、結構優しい種族…

 ちいかわ達は鎧さんから振り分けられる、くさむしりシールはり・(危ない奴の)討伐…といった “労働” で得た報酬で生活している。 けっこうシビアな設定

 ごはんふえらむね等、食物が自然に湧き出る “わきどころ” なる場所も存在し、当面生きて行く事には困窮してはいない様だが、その “わきどころ” も、何の前触れもなく突然(サディスティックに)枯渇したりもする… 

 また、様々な資格制度も有り、その取得により報酬もアップする。 ちいかわ“くさむしり検定5級” の試験に2度挑むが… いまだに合格できていない。

 無資格のくさむしりで貯めた僅かな報酬で手に入れた、前述のくまさんポシェットや、眠る時にはいつも抱きしめているくまさんぬいぐるみ等の僅かな嗜好品を、ちいかわはとても大切にしている。 また、ハチワレブルーのさすまたに刺激され、自分も一緒に討伐を行う為にピンクのさすまたを頑張って購入する。

ちいかわのたいせつなものたち

 でも… ちっちゃな危ない奴(ギチギチ)の討伐にさえ苦戦するちいかわ。 自分のふがいなさに泣いちゃう…(メンタルめちゃ弱…)

 一見ファンタジーを匂わせるちいかわワールドだが、そのフィールドは実にシビアで危うく切ない。

残酷な裏切り

 ある日ハチワレは、偶然見つけたスイッチで擬態型を封印した洞窟の檻を開けてしまう。 そこにいたのは小さなカブトムシ。 柔らかくかわいらしいその子は、ちいかわの家まで着いてきてしまう… 討伐や日々の労働に疲れたちいかわは、その小さな新しいともだち “ちいかぶ” に癒されるが…

 少しずつ凶暴な面を見せ始める “ちいかぶ” をかばい、洞窟へ逃げ込むちいかわ

 “ちいかぶ” は、一瞬 “友好型” かと思わせるが…

 突然凶暴な擬態型の本性を現し、無情にもちいかわとの友情を裏切って飛び去っていく…

 元々 “弱い” 存在のちいかわを、無情なまでに叩きのめす様な展開は、サディスティックでさえある。

ちいかわの夢(煩悩?)

 ある日、蝶のように自由に飛び回る事を夢見るちいかわ
ウサギが手に入れた木彫りの人形の力で、ちいかわ、ハチワレ、ウサギの三人は、羽を持ち自由に飛び回る事ができる小さな妖精の様なものに変えられてしまう。

 これが夢ではないことに気づいた三人は、木彫りの人形を破壊しようと試みるが… 一瞬、ちいかわの脳裏には、日々の生活に追われるシビアな現実からの逃避として、この状況を壊したくないという迷いが浮かぶ。

 この小さく弱い存在の中にさえ、迷いや煩悩を持たせてしまうというシビアな設定

“キメラ” = “あのこ” ?

 キメラ = 嵌合体 ギリシア神話に登場する怪物キマイラに由来する…

 ちいかわワールドには、元々ちいかわ達と同じ小さな者達が、何らかの理由で討伐対象となる危ない奴に変貌してしまうという、“キメラ化”という現象が存在する…

 シール貼りの仕事中、オフィスグリコでおやつを買う事を教えてくれた “あのこ” と親しくなるちいかわだったが、ある日…いつも隣にいた “あのこ” は突然いなくなってしまう。

 同じころ… おっきな討伐に参加したちいかわ達は、討伐対象になった大きいが愛らしい姿をした “キメラ” と遭遇する。 特にちいかわ達を攻撃して来ない “キメラ” は、偶然ちいかわの前に現れたカエルを指指す。 “キメラ” のこの行動の意図を理解できず戸惑うちいかわ… このカエルオフィスグリコのカエルを示唆していることは容易に推測できる…

 この時点では穏やかでどこか愛らしい “キメラ” 化した “あのこ” が描かれている。

 また、 “キメラ” = “あのこ” の回想シーンには、ちいかわオフィスグリコを分け合った光景や、パジャマの鎧さんが作ったちいかわとお揃いのピンクのパジャマが描かれている。

 この頃の “キメラ” = “あのこ” の意識の中には、キメラ化以前の楽しかった記憶と、小さく弱い存在として過酷だった日々の記憶が混在しているが、討伐しようとする小さい者達を簡単に跳ね除ける、キメラ化によって得られた自らの “力” に酔いしれてしまう

 その後、普段は森の中で木の実を食べて暮らしていた “キメラ” = “あのこ” だったが… ある時、討伐に訪れた小さい者達をつまみ上げ、その匂いを嗅ぐ。

 一瞬画面が空に切り替わり意図的に残酷な描写は避けられているが… “キメラ” = “あのこ”小さい者達 “捕食” するというシュールでスプラッターな展開を匂わせている。 “キメラ” = “あのこ” は、その行為に躊躇うことなく実に無邪気に、木の実より美味しい小さい者達の味に悦んでいる!!

 更に “キメラ” = “あのこ”“友好型” を装い、討伐に訪れた小さい者達を油断させて “捕食” を続ける… 

 この頃になると “キメラ” = “あのこ” の意識の中からは、キメラ化以前の楽しかった記憶は消え、過酷だった日々の辛い記憶さえも薄らいでいく…

 そして、この展開と並行して描かれるのは…

 やりたいことリストハチワレに見られて思い切り照れるちいかわ。 ハチワレの様にしっぽが動かせず泣いてしまいそうなちいかわ。 …と言った平穏で愛らしいちいかわ達の日常のエピソード。

 現在のちいかわワールドでは、サイコでスプラッターな世界と、愛らしくささやかな癒しの世界が平然と同居している!!


 このほのぼのとした日常カオスな世界観が同居するちいかわワールドは、しりあがり寿「弥次喜多 in DEEP」と同種の読後感を残す…

 また、さり気ない日常を描いた短編は、まさに “事象漫画” として、つげ義春「海辺の叙景」を継承しているとも言える。

 さらに、皆まで言わないストーリー展開は、60年代後期から70年代初頭のつげ忠男作品における “……” と同質の感覚を残す…

……等と… 良く解らんことを述べてしまうのは… 

還暦を過ぎたええおっさんちいかわ沼にハマってしまっている事への “照れ隠し” 以外の何物でも無い訳だが…

 また、2020年からナガノさんのTwitter上でこの作品に浸ってきた諸兄に比べれば、わたしなどまだまだちいかわ沼に、恐る恐る片足を踏み込んだ…というレベルでしかない。

 2021年10月中旬までのTwitter公開作品は現在単行本で読むことが出来る。 (近々単行本第5巻も発売の予定) 元来アナログ人間のわたしは、ナガノさんのTwitter上では断片的に作品を拝見してはいるが… やはり単行本という紙媒体でジックリと作品を楽しませて頂く事にしようと思っている。

 癒される様な…メンタルを蝕まれる様な…このカルトなちいかわ底なし沼

 いずれにしても、今後もズブズブとはまり込んで行く事になりそう…


 ささやかな日常の喜びを素直に受け止めるちいかわ… 
 なんか… 癒されるぅー! 

 だけど…

 わァ… ア… ァ… メンタルがぁー チクチクするぅー!

 …で…でもっ!!

 うん!!!!


『つげ忠男 作品一覧 ① 1968年 ~ 1978年』 

『つげ忠男 作品一覧 ② 1979年 ~』(制作中)

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