U.S.PUNK 前史① ストゥージズ – The Stooges
60年代後期、アメリカでは、
“PUNK” の源流と言えるバンドは、
イギリス以上に存在していた。
いわゆる、
“ブリティッシュ・インヴェンション” は、
ニューヨークや、西海岸等の都市部だけでなく、
ローカル・エリアで活動する、
サーフ・バンドや、ガレージ・バンドにも、
強烈な影響を与え、
テクニックと知性の無さを、
勢いと爆音でカバーするという荒業に出る、
とんでもないモンスター達を生み出していた。
そのほとんどは、当然短命に終わり、
シングル一枚、
あるいはギリギリアルバム一作を、
ローカル・レーベルに残した、
後年、ガレージ・パンク
と呼ばれるバンド群だった。
それらのバンドに着目し、
オムニバス・アルバム
『ナゲッツ(Nuggets)』を編集したのは、
パティ・スミス・グループの、
レニー・ケイだった訳だが、
このあたりについては、また項を改める事にして…
後の “PUNK” シーンに、
少なからず影響を与えたと言う意味で、
デトロイトの
ストゥージズ(The Stooges)と、
エム・シー・ファイブ(MC5)
サンフランシスコの
ブルー・チアー(Blue Cheer)
は、見逃せない。
ストゥージズ(The Stooges)
69年の第1作。
プロデュースは、ヴェルベッツのジョン・ケイル。
ストゥージズ(The Stooges)
『The Stooges』
メンバーは、
イギー・ポップ(Iggy Pop)
– ボーカル
ロン・アシュトン(Ron Asheton)
– ギター
スコット・アシュトン(Scott Asheton)
– ドラム
デイヴ・アレクサンダー(Dave Alexander)
– ベース
同じくデトロイトで、
既に過激なパフォーマンスを行っていた
MC5に刺激されながらも、
外に向かった政治的メッセージ性は薄く、
ドアーズに通じる、
文学的と、内向性を持ち合わせていた。
「I Wanna Be Your Dog」
「No Fun」
と言う、後年幾つものバンドにカバーされる事になる
代表曲を含む第1作。
ジョン・ケイルというフィルターを通したことで、
ガレージっぽい粗野な凶暴さが、
知的で品の良いオヴラードに覆われて、
若干お行儀良く仕上がってしまった様にも感じるが、
(イギーは、ジョン・ケイルのミックスに不満だった様で、
自らリミックスを行っている。)
結果として(本人達が望んだかどうかは別として)、
このアルバムの、“狂気を孕んだクールさ”
ともいえる仕上がりが、
後年、
都市部であるニューヨークのバンド達にも受け入れられ、
“NEW YORK PUNk” のベースにもなったのかもしれない。
70年には第2作、
『Fun House』をリリース。
「T.V. Eye」「1970」等の、
キラー・チューン含むこのアルバムでは、
サックスのスティーヴ・マッケイ(Steven Mackay)
が参加した事もあり、
更に、フリー・フォームな混沌度が増すが、
当時は、ほとんど評価されず、
バンドは、エレクトラから解雇されてしまう。
71年には、
イギーのドラッグ依存も激しくなり、
ストゥージズは、空中分解してしまう…
73年、
デヴィッド・ボウイ(David Bowie)の
メインマン・プロダクションと契約。
ギターに新たに、
ジェイムス・ウィリアムソン
(James Williamson)を迎え、
イギ―&ザ・ストゥージス
(Iggy And The Stooges)として、
再始動する。
新たにイギリスCBSと契約して、
リリースしたのが、
Iggy And The Stooges
『Raw Power』
ボウイのミックスは、
バランスが悪く、平面的な音に仕上がっており、
当時から不評だったが、
97年には、
イギー自らがリミックスしたCDがリリースされ、
更に、2010年には、
オリジナル・ボウイ・ミックスの、
リマスター音源も発表されている。
と言う事で、現行のCDは、
かなり音質がアップした物になっている。
このアルバムでは、
ロン・アシュトンは、ベースを弾いているが、
アシュトン兄弟と、
ウィリアムソンの折り合いは悪く、
結局イギ―&ザ・ストゥージスは、
74年には、再び解散する事になる…
バンド内の軋轢と、
イギー自身の自己破滅に向かう様な、
精神状態の中でのパフォーマンスは、
76年、バンド解散後に、
フランスのスカイドッグ・レコードから、
Iggy And The Stooges
『Metallic K.O.』
としてリリースされる。
(オリジナルは6曲だけ収録した物だったが、
88年には、5曲追加し
『Metallic 2×K.O.』として再発される。
但し、音質はブートレッグ並)
その後、イギーは、
ソロとして活動することになる。
そして、
2003年には、
ロン&スコット・アシュトン兄弟と、
Iggy And The Stoogessを再起動。
2004年には、The Stooges初来日。
3月22日の渋谷AXEでのライブを収録した、
ブートレッグDVDを元に、
スカイドッグ・レコードが、ライブ盤CD
Iggy And The Stooges
『テリューリック・カオス(Telluric Chaos)』
をリリース。
2007年には、
新生Iggy And The Stoogesとしての、
初のアルバムがリリースされる。
Iggy And The Stooges
『ワイアードネス(The Weirdness)』
スティーブ・アルビニ(Steve Albini)が、
エンジニアを務め、
ほぼスタジオ・ライブの様な状態で、
制作されたこの作品。
アシュトン兄弟に加え、
サックスのスティーヴ・マッケイも参加しており、
まぎれもないThe Stoogesの音に仕上がっている。
また、2007年の “フジロックフェス” に、
The Stoogesとして2度目の来日を果たしている。
2009年に、
ロン・アシュトンが、心臓発作で他界。
音楽業界からリタイアしていた、
ジェイムス・ウィリアムソンを、
呼び戻して、2013年、
『Ready To Die』
をリリース。
更に2014年には、スコット・アシュトンも、
やはり心臓発作で他界…
2015年でThe Stoogesは活動を終えるが、
“ゴッドファーザー・オブ・パンク”
イギー・ポップは、現在も現役!!
A-6 A Public Execution – Mouse
A-7 No Time Like The Right Time – The Blues Project
B-1 Oh Yeah – The Shadows Of Knight
B-2 Pushin’ Too Hard – The Seeds
B-3 Moulty – The Barbarians
B-4 Don’t Look Back – The Remains
B-5 Invitation To Cry – The Magicians
B-6 Liar, Liar – The Castaways
B-7 You’re Gonna Miss Me – The Thirteenth Floor Elevators
C-1 Psychotic Reaction – Count Five
C-2 Hey Joe – The Leaves
C-3 Just Like Romeo And Juliet – Michael And The Messengers
C-4 Sugar And Spice – The Cryan Shames
C-5 Baby Please Don’t Go – The Amboy Dukes
C-6 Tobacco Road – The Blues Magoos
D-1 Let’s Talk About Girls – Chocolate Watch Band
D-2 Sit Down I Think I Love You – The Mojo Men
D-3 Run Run Run – The Third Rail
D-4 My World Fell Down – Sagittarius
D-5 Open My Eyes – Nazz
D-6 Farmer John – The Premiers
D-7 It’s-A-Happening – The Magic Mushrooms
Compilation Producer : Lenny Kaye
The Stooges
『The Stooges』(1969)
A-1 1969
A-2 I Wanna Be Your Dog
A-3 We Will Fall
B-1 No Fun
B-2 Real Cool Time
B-3 Ann
B-4 Not Right
B-5 Little Doll
Iggy Stooge(Iggy Pop) : Vocals
Ron Asheton : Guitar
Dave Alexander : Bass
Scott Asheton : Drums
John Cale : Viola(A-3)
Producer : John Cale
The Stooges『Fun House』(1970)
A-1 Down On The Street
A-2 Loose
A-3 T.V. Eye
A-4 Dirt
B-1 1970
B-2 Fun House
B-3 L.A. Blues
Iggy Pop : Vocals
Ron Asheton : Guitar
Dave Alexander : Bass
Scott Asheton : Drums
Steven Mackay : Tenor Saxophone
Iggy And The Stooges『Raw Power』(1973)
A-1 Search And Destroy
A-2 Gimme Danger
A-3 Your Pretty Face Is Going To Hell (Hard To Beat)
A-4 Penetration
B-1 Raw Power
B-2 I Need Somebody
B-3 Shake Appeal
B-4 Death Trip
Iggy Pop : Vocals
James Williamson : Guitar
Ron Asheton : Bass. Vocals
Scott Asheton : Drums
Mixed By – David Bowie. Iggy Pop
Iggy And The Stooges
『Metallic ‘KO』(1976)
A-1 Raw Power
A-2 Head On
A-3 Gimme Danger
B-1 Rich Bitch
B-2 Cock In My Pocket
B-3 Louie Louie
Iggy And The Stooges
『Metallic 2×KO』(1988)
01 Raw Power
02 Head On
03 Gimme Danger
04 Search And Destroy
05 Heavy Liquid / “I Wanna Be Your Dog”
06 Open Up And Bleed
07 I Got Nothing/I Got Shit
08 Rich Bitch
09 Cock In My Pocket
10 Louie Louie
Iggy Pop : Vocals
James Williamson : Guitar. Vocals
Ron Asheton : Bass. Vocals
Scott Asheton : Drums
Scott Thurston : Electric Piano
Iggy And The Stooges
『Telluric Chaos』(2005)
01 Loose
02 Down On The Street
03 1969
04 I Wanna Be Your Dog
05 TV Eyes
06 Dirt
07 Real Cool Time
08 No Fun
09 1970
10 Fun House
11 Skull Ring
12 Rock Star
(Encore)
13 Electric Chair
14 Little Doll
15 Idea Of Fun
16 I Wanna Be Your Dog
17 Not Right
Iggy Pop : Vocals
Ron Asheton : Guitar
Mike Watt : Bass
Scott Asheton : Drums
Steven Mackay : Tenor Saxophone
2004.03.22 Live at Shibuya Axe. Tokyo
The Stooges
『The Weirdness』(2007)
01 Trollin’
02 You Can’t Have Friends
03 ATM
04 My Idea Of Fun
05 The Weirdness
06 Free & Freaky
07 Greedy Awful People
08 She Took My Money
09 The End Of Christianity
10 Mexican Guy
11 Passing Cloud
12 I’m Fried
Iggy Pop : Vocals
Ron Asheton : Guitar
Mike Watt : Bass
Scott Asheton : Drums
Steven Mackay : Tenor Saxophone
Brendan Benson : Backing Vocals (06)
Iggy And The Stooges
『Ready To Die』(2013)
01 Burn
02 Sex & Money
03 Job
04 Gun
05 Unfriendly World
06 Ready To Die
07 DD’s
08 Dirty Deal
09 Beat That Guy
10 The Departed
Iggy Pop : Vocals
James Williamson : Guitar
Mike Watt : Bass
Scott Asheton : Drums
Steve Mackay : Saxophone
Jason Butler : Percussion
Mark Culbertson : Double bass
Toby Dammit : Percussion
Petra Haden : violin. Background Vocals
Hugh Marsh : Violin
Scott Thurston : Keyboards
Michelle Willis : Pump Organ