マージナル・アイドル
70年代、わたしが10代の頃、
“アイドル” という存在は、
ほとんどが、単独の歌謡曲の女性歌手だった様に思います。
キャンディーズ、ピンクレディー 等の、
グループと言うよりはユニットと言った形もありましたが、
いずれもレコード会社の商品としてプロデュースされ、
管理された存在だった事に変わりは有りません。
今でこそ、“昭和歌謡” というカテゴリーで再評価されていますが、
当時のわたしは、人並にテレビを通して見聴きする事は有っても、
アイドル系の歌謡曲には、ほとんど関心を持つことは有りませんでした。
例外として、グラビア・アイドル、
木之内みどり、風吹ジュン
この二人は好きでした。
木之内みどりは、
レコーディング中に、ベーシストの後藤次利との略奪婚でドロップアウト。
写真家として活動しながら、竹中直人と再婚。
風吹ジュンも、
モデルとしての絶頂期に、トラブル。
その後、役者としてカムバック。
どちらもアイドル・歌手としてはB級でしたが
結果として、いわゆる芸能界からはみ出してしまう、
型にはまらない部分に魅かれていたのかもしれません。
現在、“アイドル” というジャンルは、
“アイドルグループ” “アイドルユニット” 等、
超メジャーな存在から、
限りなくアマチュアに近い地下アイドル
(ある意味インディーズ?)まで、百花繚乱状態。
ある意味では、立派なサブカルチャーと言う事になるかと思いますが、
個人的には、正直少々抵抗が有るのは事実です。
当事者や製作サイドと言うよりは、
ファン(の一部)= “オタク”
と言うところに、どうしても拒絶反応を示してしまいます。
“オタク” の、マニアックに突き詰めていく姿勢は共感できますが、
どうしても、視野の狭さと、価値観の偏りを感じてしまいます。
まぁ… 見方によっては
オタクも、マニアも、コレクターも似たようなもんだろ。
と言われそうですが…
しかし、抵抗感の一番の要因は、
作品としての音楽の内容の薄さかもしれません。
バックボーンの無い、というか、それを意識しようともしない、
薄っぺらなフォーマットを踏襲しただけの曲作り。
とにかく楽曲自体つまらない物が多すぎます。
そんな中で、
関西の誇る(?)キング・オブ・ノイズ
非常階段が、唐突にアイドルとのコラボを始めてしまいました。
当初はボーカロイド “初音ミク” との
ヴァーチャル・コラボから始まり、
Bis、ゆるめるモ!、あヴぁんだんど、と言った、
B級アイドル・ユニットとのレコーディング、
ライブ・パフォーマンスを、やっちゃってました。
本気か冗談かよく解らない?!
JOJO広重君や、T.美川君も、わたしとほぼ同世代。
こんなややこしそうなオッサン達と、
10代のアイドルのコラボって、
作品の内容以前に、見た目的にも、
かなり異様なイロモノっぽさは否めませんが…
それにしても、『解体的交感』って…
高柳昌行と阿部薫のデュオ、
日本のフリージャズの名盤のパロディ!
初代JOJO=高柳氏への、
JOJO広重君のオマージュなんでしょうが、
たぶんゆるめるモ!のメンバーの女の子達は
ほとんど理解できていないと思う…
なんじゃこりゃと思いながらも聴いてみると、
これが… なかなか面白い!!
特に、解散後にBiSHとして再編成されるBisは、
ソウルフラワーBis階段まで!!
まあ、これはソウル・フラワー・ユニオンが主役ですけど…
3.11東日本大震災時に、ソウル・フラワーの中川達が、
偶然被災地で見つけたターンテーブルが縁で繋がった、
宮城県の蒲鉾本舗・高政の笹かまぼこを、
Bisのメンバーが、客席に投げてます。
と言う事で、現代のアイドルという存在は、
加工の仕方によっては
ちょっと面白い可能性を持った素材なのかも?
そして、当事者達にとっても、
異ジャンルと関わる機会を持つことで、
自らの “表現者” としてのアイデンティティを確立して、
ユニークなアーティストに転生できる可能性が、
大いに有るのではないでしょうか。