Jimi Hendrix(ジミ・ヘンドリクス)『Rainbow Bridge』

70年9月の、Jimi Hendrix(ジミ・ヘンドリクス)の突然の死後

LPレコード2枚組とも3枚組とも言われた次回作に向けて、
“エレクトリック・レディー・スタジオ” で生前に録音されていた、
大量の未発表作品
(未完成の物も含む)が、

『The Cry Of Love』 (71年3月発売)
『Rainbow Bridge』 (71年10月発売)
『War Heroes』 (71年12月発売)

と言う形で相次いでリリースされる事になる。

Edwin Kramer(エディ・クレイマー)や、
Mitch Mitchell(ミッチ・ミッチェル)が、
製作に関わったとはいえ、
残念ながら、生前のジミの意志に沿う、
発表の形態になっていたとは言い難い

この3作に、
バラバラに収録されていた未発表曲は、
1997年、ジミが生前に意図していた形に近づけ、
やはり、生前に予定していたアルバム・タイトルを冠した
『First Rays Of The New Rising Sun』
として、再編集される。

ここで問題なのが、
死後2作目の『Rainbow Bridge』

中身は、大量の未発表曲の内、
前作『The Cry Of Love』に、
収まりきらなかった曲を集めたものだったが、

ジャケットには、
“Original Motion Picture Sound Track”
と表記されており、
いかにも、映画 “Rainbow Bridge”
サウンド・トラック盤を装っていた。

その為、発売当時は、
映画 “Rainbow Bridge” で取り上げられている、
マウイ島でのフリー・コンサートのライブ音源を、
期待して購入したリスナーも多く、混乱を招いた。

作品の内容的には、
前作『The Cry Of Love』と、
この『Rainbow Bridge』は、
エンジニアエディ・クレーマーが、
ジミの意思を尊重して編集しており、
未発表作品集としては、良くできた作品に成っており、

2014年には、2作品とも
『First Rays Of The New Rising Sun』とは別に、
それぞれオリジナル通りの内容がリマスターされて、
正式に再発されている。

ただ、72年の『War Heroes』になると、
シングル盤のB面曲なども混った、
寄せ集め感が強く出てしまっている
(こちらは、正規の再発は無し。)

映画 “Rainbow Bridge”
サウンド・トラック盤を装った、
詐欺まがいのリリース形態
は、
当時の悪名高いマネージャー、
Michael Jeffery(マイケル・ジェフリー)が、
ワーナー・ブラザーズの契約をクリアするための、
苦肉の策だったと思われる

(映画 “Rainbow Bridge” の製作費を、
ジミによるサウンド・トラックの製作と発売件を条件に、
ワーナー・ブラザーズから出資させていた為。)

収録曲は

A-1 Dolly Dagger
A-2 Earth Blues
A-3 Pali Gap
A-4 Room Full Of Mirrors
A-5 Star Spangled Banner

B-1 Look Over Yonder
B-2 Hear My Train A Comin’
B-3 Hey Baby (New Rising Sun)

A-1B-3は、70年7月30日のマウイのステージでも
演奏された曲の、スタジオ・テイク

B-2も、マウイで演奏されていたが、
これは、70年5月30日のバークレイでのライブ録音

Dolly Dagger
Hear My Train A Comin’

確かに、
マウイのフリー・コンサートで演奏され
映画 “Rainbow Bridge” で、
映像も公開された曲を含んでいる為、

Michael Jeffery(マイケル・ジェフリー)
ワーナー・ブラザーズに対して、これが契約した、
映画 “Rainbow Bridge” のサウンド・トラック
だと言う事で、
切り抜けようとしたのかもしれない。

しかし、70年7月30日のマウイのステージ以降、
ジミは、この映画 “Rainbow Bridge”
に関わるフロジェクトには、
全くノータッチだったと言われている。

結論として、
71年のアルバム『Rainbow Bridge』の内容は、
2020年になってようやくオフィシャル盤として発表された
『Live In Maui』で聴くことができる、
70年7月30日のマウイでのライブとも、
映画 “Rainbow Bridge” とも、
全く関係のない作品と言う事になる。

こういった、アーティスト自身や、
現場の製作スタッフとは、直接関係のない
いわば裏側でのゴタゴタが有ったとしても、

それは決して、
ジミとエクスペリエンスが残した、
マウイでのライブ音源
や、
エディ・クレーマー達が編集した2枚の未発表作品集の、
評価を下げるものでは無いと言う事は、
強調しておきたい。

1970年7月30日のマウイでの
フリー・コンサートの音源と動画を、
可能な限り復刻した『Live In Maui』と併せて、
改めて聴いてみる事をお勧めする。

『Live In Maui』

わたし個人としては、
1997年『First Rays Of The New Rising Sun』よりも、
2014年にリマスター再発された
『The Cry Of Love』
『Rainbow Bridge』

の2枚で聴く方が、なんとなくシックリくる。
(年代的なものなのかも…)

『The Cry Of Love』(1971)

A-1 Freedom
A-2 Drifting
A-3 Ezy Ryder
A-4 Night Bird Flying
A-5 My Friend

B-1 Straight Ahead
B-2 Astro Man
B-3 Angel
B-4 In From The Storm
B-5 Belly Button Window.

『War Heroes』(1971)

A-1 Bleeding Heart
A-2 Highway Chile
A-3 Tax Free
A-4 Peter Gunn / Catastrophe
A-5 Stepping Stone

B-1 Midnight
B-2 3 Little Bears
B-3 Beginning (=Jam Back At The House)
B-4 Izabella

『First Rays Of The New Rising Sun』(1997)

1 Freedom
2 Izabella
3 Night Bird Flying
4 Angel
5 Room Full Of Mirrors
6 Dolly Dagger
7 Ezy Rider
8 Drifting
9 Beginnings (=Jam Back At The House)
10 Stepping Stone
11 My Friend
12 Straight Ahead
13 Hey Baby (New Rising Sun)
14 Earth Blues
15 Astro Man
16 In From The Storm
17 Belly Button Window

Tracks 1. 3. 4. 7. 8. 11. 12. 15. 16. 17. 『The Cry of Love』
Tracks 5. 6. 13. 14. 『Rainbow Bridge』
Tracks 2. 9. 10. 『War Heroes』

赤太字表示は、
1970年7月30日 マウイでのフリー・コンサートで
演奏された曲の、スタジオ・テイク

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