70年代・関西フォーク~関西ロックシーン ③

関西フォークとの出会いの直後、関西の作品ではないですが
これらの “ROCK的衝撃” にも、
幸運なことに、ほぼ同時代的(ちょっと後追い)に出会う事が出来ました。

 はっぴいえんど『(通称)ゆでめん』


「春よこい」「かくれんぼ」「12月の雨の日」での、
鈴木茂の、今思うと、スティーブン・スティルス
ジミ・ヘンドリクスの合わせ技のようなファズギター

 ジャックス『ジャックスの世界』


「マリアンヌ」の、木田高介のドラムに支えられた
衝撃的なフリージャズのような展開。

 すぐに発売禁止になってしまった
 頭脳警察『2nd』

「ふざけるんじゃねえよ~マラブンタバレー」
PANTA記号としての言葉の過激さ

ハックルバック

そして… 1975年
わたしもすでに高校生。

国産の安いエレキギター(Ganson!!というバチモンブランド)も手に入れ、
C.S.N.&Y. 等、少しずつ洋楽も聴き始めていた頃。

周りの友人たちの中でも、
お決まりのエリック・クラプトン、パープル、ゼップ、バドカン
等のコピーバンドを始める連中も出てき始めた頃。

巷では “日本のロック” というものも話題になり始めた頃。

はっぴいえんどのメンバーの中で、
大瀧詠一に続いて、ソロアルバムを出したのはギタリストの鈴木茂

単身アメリカに渡り、自らメンバーをブッキングして録音したという
『バンドワゴン』は、
40年以上たった今でも全く古さを感じさせない名盤です。

もちろん、私もバンドの友人たちも夢中になっていました。
曲自体の魅力鈴木茂のスライドギターのフレーズ、はもちろん、
このアルバムで初めて知った、リトルフィートをはじめ
西海岸のミュージシャンの演奏は、
そのころ一般的にROCKとして認知されていた
ブリティッシュ・ハード系・ブルース系 
アメリカン・フォーク・ロック系 とは違う、
新鮮で目新しく洗練されたものとして感じられました。

このアルバムの音ライブで再現するために鈴木茂氏が選んだのが、

 ピアノ – 佐藤博
 ベース – 田中章弘
 ドラム – 林敏明

  (敬称略)

という、3人。

この3人に、ギターの石田長生さんを加えた4人は、
“THIS(ディス)”というユニット名で、
関西系のシンガーのバックを務める、
関西(大阪)ロックシーンの常連メンバー

鈴木茂本人以外の、関西人3人
“THIS(ディス)”から引き抜いた形で始まった

 鈴木茂とハックルバック

1975年春に始まった、ティンパンアレー“ベイエリアコンサート”
4月4日 大阪サンケイホールで、
伊藤銀次参加時の シュガーベイブ
小坂忠をボーカルに据えた ティンパンアレー(ピアノは佐藤博)
シュガーベイブ坂本龍一 等をバックにした 大瀧詠一
と共に、初めて観て以来、
関西で行われたライブは、できるかぎりオッカケました

1975.04.04 大阪サンケイホール セットリスト

  • スノー・エキスプレス
  • 人力飛行機の夜
  • Ain’t Nobody’s Buisines If I Do
  • バッド・ジャンキー・ブルース
  • 100ワットの恋人
  • 砂の女

われわれ関西人にとっては、
元はっぴいえんどの鈴木茂の、東京の垢ぬけたイメージと、
関西人3人から抜けきらない “大阪臭” がブレンドされた、
独特の立ち位置にいるバンドでした。

リズムセクションのお二人、特に田中氏のベースは、
関西ファンクといっても良いのか…
時に、かなり突飛なフレーズも飛び出していました。

佐藤博さんのピアノは、
ご自身が二十歳を過ぎてから、独学で身に付けたという事で、
普通に子供のころからレッスンを受けて作り上げられたものとは違う、
独特の若干 “くどめ” で、感情を思いっきりブチ込んだようなフレーズが印象的で、
一聴してすぐ、佐藤さんのピアノと解かるものでした。
少々コワモテの長髪(当時は)で、ルックスからくるインパクトも強烈でした。

ハックルバックは、鈴木茂のバンドであると同時に、
佐藤博のバンドでもあったと思っています。

ライブでは毎回オープニングに演奏されていたインストスノーエキスプレス」なと、
佐藤さんのピアノなしでは成立していなかったはずです。

ライブの中盤には、いつも佐藤さんのコーナーといえるものも有りました。
バッドクラブバント時代からのブルースナンバー

「Bad Junky Blues」

ブルースのスタンダード

「Ain’t Nobody’s Buisines If I Do」

は定番でした。

また、京大の西部講堂でのイベントでは、
最初が、R&Bの激突モモンガ・パートⅡ
2番目が、デビューしたての憂歌団
3番目に、ハックルバック
トリが、塩次伸二も参加しているしーちゃんブラザーズ
という、どう見ても関西ブルース系のブッキング

ハックルバックのステージでも、中盤から
ウエストロードB.B.の、塩次伸二さんがゲストで参加しての
ブルースナンバー3連発!!

主役は佐藤さん という感じのイベントでした。

1975.11.23 京大西部講堂 セットリスト

  1. スノー エキスプレス
  2. 人力飛行機の夜
  3. Ain’t Nobody’s Busines
  4. アップル ノッカー
  5. バッド ジャンキー ブルース
  6. Root 66
  7. Honest I Do
  8. ウッド ペッカー
  9. 砂の女
  10. 100ワットの恋人

残念ながら、ハックルバックの活動期間は1年ほどで、
鈴木茂さんの再びソロに。
佐藤博さんは、ティンパンアレー参加後、
76年には渡米して1stソロアルバムを発表
その後、活動拠点を東京へ移されたようです。

次回、残された(??)石田長生さんの地元関西での活動について。

続く…

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