追憶の神保町ジャニス

今でこそハードディスク・オーディオに切り替え、
8テラバイトのハードディスク 1台
4テラバイト(R・ストーンズ専用) 1台
4テラバイト(映像・動画用) 1台

と、コンパクトにまとまった 音源・映像のコレクションですが、

学生時代には、アナログ・レコードを買い集め
社会人になってからは、CD化されたものを改めて買い直し
さらには、ブートレッグCDにはまり
現在の部屋への引っ越しに伴う、思い切った断捨離以前は、

とんでもない量のコレクションに埋もれて生活してました。

近年になってこそ、
ファイル交換サイトなどからのダウンロードで、
音源を入手する事もできるようになりましたが、

これだけの量のCD・DVD類をすべて購入していたとしたら

 とっくに生活が破綻してました…

という事で、
CD時代になってから、特にお世話になっていたのが

 『レンタルCD屋』さん

レンタルしたCDをリッピングして、
当時はまだ、
CDRに焼いては、コレクションを増やしていました。
その中でも、

 神保町のジャニス

は、特別な存在でした。

とにかく、ここと出会わなければ

 ここまで音源のコレクションは充実していなかったはずです。

東京に出出来てから、90年代の半ばまでは、
新宿西口・小滝橋通り周辺の、
いわゆる、ブート(海賊盤)屋さん地帯に入り浸り、
R・ストーンズを中心に、
ライブ音源のブートレッグの収集に明け暮れておりました。

ブートの収集にも疲れてきた90年代後半から、
70年代を中心に、まっとうなオフィシャル作品を、
体系的に揃え直したいと思い始め…

2000年代になってからようやく、
遅ればせながらの、

 神保町詣が始まりました。

なので…
アナログ・レコードのレンタル時代の、旧店舗には行ったことがなく
すでに、神田第2アメレックスビルの9階に移転して、
CDメインのレンタルになってからの、新参者ではありましたが…

まあ、以前からお店の存在は知っていたのですが、
たまたま何かの雑誌で
(記憶が定かではないので、もしかしたらネット上で?)
90年代にごく僅かだけ出回った
『裸のラリーズ』のCDをレンタルしているという事を知り、
「なんか…面白そうな店かも?」…と、
初めて足を踏み入れたところ…

これが… もぅ…


とんでもないところでして !

コレクターにとっては夢のワンダーランド!!!

細長いビルの最上階ワンフロアいっぱいを、
天井近くまで積み上げられたCDラックが埋め尽くしていて!!!
たしか、当時で8万枚のストックという事でした。

一般的なメインストリーム(コンビニで買える音楽)的な物には
目もくれず、マニア・コレクター目線での品揃え!!

そんな大量のストックの中に、
他の店では絶対扱わないような作品や、超レアな作品が、
サラッと混じってる!!

 とにかく、どえらいお店に出会ってしまった!!

で… それ以来、2018年の突然の閉店まで

靖国通り沿いのサイゼリアで、
500円のランチ+ドリンクバーの昼食
当時はまだ喫煙席があったので、
いっぷく(2ふく…3ぷく)しながら、ゆっくりくつろいで…

ディスクユニオンの神保町店で、新入荷アイテムをチェックしてから、

 

いざ!! アメレックスビル9階の 
ジャニスへ!!

その後、
すずらん通りの、ドトールの2階の喫煙席で、
またも、いっぷく(2ふく…3ぷく)しながら
その日の収穫をチェック

近くの古書店をひやかしながら帰宅…

 というのが、休日の日課となりました。

2000年代はじめに、通い始めた頃は、
他の店では取扱いの無いレアな作品散発的に借りていのですが…

2003年に離婚し、バツイチ独り者になってからは、
自分の時間が存分にもてるようになり
(それはそれで… ちょっとサビシイですが…)
一気に借りる量が増えました

洋楽は、レコードコレクターズ誌などを参考に、
ディスコグラフィーのコンプリートを目指し始め、
(なにを目指してんだか…)

邦楽は、70年代初め~80年代初頭まで、
(日本のROCKの創世記~パンク・ニューウェーヴ
~ハードコアの台頭 くらいまで)
以前アナログ・レコードで持っていた物を含めて

 やたらと借りまくっては、CDRに保存していました。

また、この店独自のジャンル(??)

 『辺境系』(マージナル)

というコーナーにも、たいへんお世話になりました
アヴァンギャルドノイズインダストリアル系 等など
他店ではまず取り扱う事がなさそうなアーティストを集めていました。

洋楽では、ジョン・ゾーンフレッド・フリスヘンリー・カウ
ヘンリー・カイザーレジデンツ、CANグルグル
スロッピン・グリッスル etc

邦楽では、阿部薫高柳昌行はなたらしボアダムス
非常階段アルケミーレコード系 etc

ほかの店では、まず扱ってないような作品を、
しこたま借りることができました。

ジャニスの思い出

色々と思い出はありますが…
やはり忘れられないのは、

 2011年3月11日、東日本大震災 !!

ちょうどその日の、その時間
いつものようにCDをあさっていると…

 突然の大きな揺れ!!

「あぁ…地震かぁ…」

と、最初は悠長にかまえていたものの…

そういえば… ここはノッポビルの9階!!
横揺れの振幅がますます大きくなり
ついには、通路をはさんだCDラックというCDラックから
崩れ出した大量のCDが、床一面に散らばりはじめ!!!

通路の両側のCDラックが倒れてこないように、
両手を突っ張りながら、
やっとの思いで立っていたんですが…
生まれて初めて、

 ほんとうに『腰が抜けて』しまいました。

ようやく揺れが収まってから、
まるでギックリ腰になったかのように、
まっすぐ立つこともままならず
お店のスタッフの誘導をうけて、非常口からビルの外階段を下り
やっとの思いで、地上までたどり着きました。

さすがに、お店のダメージは大きく
大量のCDの整理・修復には、かなりの時間がかかったようで、
2~3週間お休みされていたと記憶しています。

(後日、再開後にお店に行った時には、スタッフの皆さんから
「腰、大丈夫でしたか??」と、お気づかい頂くこととなりました…)

突然のお別れ…

そんなこんなで、15年以上慣れ親しんだ9階の本店が、

 2017年秋に突然

中古盤の販売店で裏路地の路面店だった
『ジャニス2』が入っていた、
エチゴヤビルの1階移転・縮小

お店の規模も、かなり小さくなり、
寂しく感じていた矢先

 2018年の夏

その年の11月いっぱいでの閉店を知らされました。

たしかに、
CDレンタルという業態への、
需要自体が減ってきていたのも事実ですし、
その前の年の、店舗の縮小も伏線になっていたわけで…
やむを得ない事なのか… とは思うものの、

 やっぱり、これはかなりショックでした。

1981年に創業されてから37年間
(私が通い始めて、18年間)

創業者の鈴木社長は、『音の図書館』というコンセプトで、
お店を続けてこられたそうです。

閉店が決まってから、昔からの女性スタッフの方とお話ししていて、
鈴木社長が、縮小・移転の1年前の2016年に、
お亡くなりになっていた事を知り…
件の、すずらん通りのドトールの2階で、やはり煙草を吸われる
社長さんの姿をよくお見かけしていただけに、
非常に寂しく思われました…

お店自体が、長い年月をかけて作り上げられた

 『音楽文化のアーカイヴス』

と言っても良い物になっていたのに…

 やはり… 残念だし… 寂しいです!!!

これだけの個性コンセプトを持って、
たくさんの音楽ファンに愛されるお店は、

 今後、二度と現れないと思います

閉店から2年…
遅くなりましたが…

ありがとう… ジャニス

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