永遠の桃源郷・九鬼谷温泉 – 『まんだら屋の良太』の10年 ( 其の二・1980年 )

1980年 掲載作品

第31話~第80話 全50話

単行本(マンサンコミックス)第4巻から第9巻の最初の2話、文庫本(筑摩コミック文庫)では第3巻から第6巻の最初の2話。 

1979年発表の作品30話は、『まんだら屋の良太』の10年 ( 其の一・1979年 )

 連載二年目となるこの年1980年には、久美子、お役者晴司、英一、ゆかり、正剛… といった今後の物語に大きく係っていくキャラクター達が多く登場する。

 また、今回から下の様なフォーマットで各話を紹介する事とする。


週刊漫画サンデー 1980年 〇月 〇日号掲載

マンサンコミックス巻 第〇話  ( 筑摩コミック文庫巻 第〇話 )

初登場 (或いは主要) 登場人物 – 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

初登場 (或いは主要) 登場人物 – 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

 〇〇〇〇〇〇 ーー(コメント)ーー 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇

 〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇。


 

週刊漫画サンデー 1980年 1月 1日号掲載

マンサンコミックス 4巻 第1話  筑摩コミック文庫 3巻 第1話

山中ヒロシ – 九鬼谷の山中文房具屋の息子。収集癖有り。

ヒロシの父 – 息子同様のコレクターだが…

 下着泥棒の被害に遭った月子百合奴麗子…。濡れ衣を着せられた良太は、収集癖のあるヒロシを疑うが…

 良太の友人、文房具屋のヒロシと、温泉組合・組合長の娘、麗子が初登場。

 ひさやに戻った直美百合奴姐さんと同居している。


週刊漫画サンデー 1980年 1月8/15日号掲載

マンサンコミックス 4巻 第3話  筑摩コミック文庫 3巻 第2話

天月号天月神社の神馬。月子の初夢に登場…

 テツネズミまんだら屋で男ばかりの正月を迎える。良太と天月神社に初詣に行った月子の初夢は??

 連載開始後初の正月を迎えた九鬼谷温泉艶笑騒動譚の登場人物達が描かれる。


週刊漫画サンデー 1980年 1月22日号掲載

マンサンコミックス 4巻 第4話  筑摩コミック文庫 3巻 第3話

百合奴 – 今年30歳を迎える美人芸者。

野島栄一 (三流?)シナリオライター。水道屋・野島設備の次男。

 東京での脚本家の仕事に行き詰まりを感じ、正月に実家の水道屋に帰省した英一。 同級生で共に30歳になる百合奴との再会し、脚本家としての再出発を決意。 芸者の世界を描くことに… 

 後に百合奴の夫となる野島英一が初登場。 英一が手掛ける脚本は、後にテレビ新宿の連続ドラマ「湯の町芸者」として実を結ぶ。


週刊漫画サンデー 1980年 1月29日号掲載

マンサンコミックス 4巻 第5話  筑摩コミック文庫 3巻 第4話

みゆき – 九鬼谷から月子達と同じ高校に通う同級生。

松岡 – 小倉の楽器店の社長。みゆきの不倫相手。

一郎 – 良太の同級生。サチコと九鬼谷に駆け落ちする。

中島サチコ一郎の後輩。

 不倫相手の子を宿した同級生みゆき。若さに任せて駆け落ちするサチコと一郎。二組の男女の性を間近に見た月子と良太は…

 良太  “「女の一生」の作者だれやったかのお? ”

 月子  “ モーパッサン! ”

 良太  “ 姫守り、いつのまにやらもうバアサンか! ”


週刊漫画サンデー 1980年 2月 5日号掲載

マンサンコミックス 4巻 第6話  筑摩コミック文庫 3巻 第5話

ゆかり良太のいとこ。実はなかなかの問題児。

松岡正剛 – まんだら屋の下足番。前科持ち。

 山口の旅館に嫁ぐ予定で、まんだら屋に女将見習いにやってきた良太のいとこ・ゆかり。以前付き合っていた正剛と再会し……

 後に紆余曲折を経て夫婦となる正剛ゆかりが初登場。

 ちなみに、同じく後に夫婦となる、みっちゃんのカップル(?)も、さりげなく登場…


週刊漫画サンデー 1980年 2月12日号掲載

マンサンコミックス 4巻 第7話  筑摩コミック文庫 3巻 第6話

元大学教授 – 国立大学の教授の地位を捨てた、流れ者のフーテンじいさん

流れ者のヤクザ – 元教授の流れ者仲間。

 たまたま九鬼谷温泉へ流れ着いた、元大学教授のフーテンじいさんやくざ者の流れ者二人。やくざ者は九鬼谷温泉で刺客としての仕事を果たし、フーテンじいさんはさらに南へ流れ続ける。


週刊漫画サンデー 1980年 2月19日号掲載

マンサンコミックス 4巻 第8話  筑摩コミック文庫 3巻 第7話

麗子温泉組合・組合長 “松風荘” の娘。

しげお“松風荘” の従業員。組合長の右腕。

 組合長の娘・麗子は、従業員のしげおに思いを寄せるが、しげおは大人の分別で麗子をたしなめる。

 例によって、良太はお調子者を演じることに…


週刊漫画サンデー 1980年 2月26日号掲載

マンサンコミックス 4巻 第9話  筑摩コミック文庫 3巻 第8話

景子 – 分教所の小学校教諭。九鬼谷通信ではインタビューと九鬼谷史を担当。

賢一 九鬼谷通信社の元編集長。

 タウン誌 “九鬼谷通信” の編集長のポストを賢一から引き継いだ月子。雑役係の良太は景子の助手として百合奴のインタビューに(無理やり)同行するが…

 九鬼谷通信の編集には、良太月子の他にも、ゲン、ヒロシ、里見、達が参加。


週刊漫画サンデー 1980年 3月 4日号掲載

マンサンコミックス 4巻 第10話  筑摩コミック文庫 3巻 第9話

仲田美沙子仲良会会長の孫娘

仲田良之介仲良会(なかよしかい)の会長九州の首領

社長会長の孫娘のおもり役

岩本 – 小倉のチンピラ。おもり役の社長の手下

 テツが小倉で拾ってきた美紗子は、九州の首領の孫娘。良太テツ響灘(ひびきなだ)に沈められる事も覚悟するが…

 仲良会(なかよしかい)の会長仲田良之介は、今後も九鬼谷良太達との関わりを続ける。


週刊漫画サンデー 1980年 3月11日号掲載

マンサンコミックス 5巻 第1話  筑摩コミック文庫 3巻 第10話

純子満月館の客室係。元・八幡のバーのママ。

満月館のダンナ – 前妻の四十九日明け早々に順子を嫁に迎える?

 まんだら屋の従業員、デコの輝ブスのみっちゃん。お互い悪態をつきあいながら、まんざらでもない間柄。しかし…順子に、みっちゃん正剛に……

 正剛、ゆかり、エツオ、松っぁん… というまんだら屋従業員達の中に、松江と思われるキャラも初登場。

 ちなみに、現在確認できる電子書籍(kindle)では12ページ目が欠落しているので要注意。


週刊漫画サンデー 1980年 3月18日号掲載

マンサンコミックス 5巻 第2話  筑摩コミック文庫 3巻 第11話

● 宮川染子 – 元“まんだら屋” の仲居。一人で九鬼谷に戻ってきた。

● 宮川タケシ – 元“まんだら屋” のボイラー係。染子を追って九鬼谷に舞い戻る。

● 黒さん売春宿「鶯」のオーナー。

● 一郎 – 鍼灸師。タケシの師匠となる。

 タケシの借金が元で、夜逃げ同然に捨てた九鬼谷へ戻った染子売春宿「鶯」で客をとる。 染子とやりなおそうとタケシも九鬼谷へ…

 第6話『姦々祭り』(週刊漫画サンデー 1979年 7月 3日号掲載)で、夜逃げしていた染子タケシが久々に登場。二人はこの後も九鬼谷で共に暮らすことになる。

 売春宿「鶯」のオーナー黒さんと、鍼灸師の一郎が初登場。


週刊漫画サンデー 1980年 3月25日号掲載

マンサンコミックス 5巻 第3話  筑摩コミック文庫 3巻 第12話

● 六郎 – 九鬼竹細工「盛竹舎(せいちくしゃ)」の芸大出の職人。

● 貴多本久美子 – 小倉の三郎丸女学院に通う女子高生。九鬼谷の饅頭屋・貴多本の一人娘。

 竹細工職人六郎の彫る木彫像の顔は、なぜか月子に似ている。しかし、それは六郎の理想の女性像。月子六郎の作品のモデルを務めるが…

 主要キャラの一人・久美子が初登場。今後、直美以上の “すけべキャラ” として暴れまわる久美子も、この時点ではまだ清純派?


週刊漫画サンデー 1980年 4月 1日号掲載

マンサンコミックス 5巻 第4話  筑摩コミック文庫 3巻 第13話

● お役者晴司 – 香具師 “天狗屋” の頭。

● 麻世九鬼谷診療所の新人看護婦。

● 千恵子九鬼谷診療所の院長の娘

● ボウさん晴司の舎弟。元僧侶。

 露天商を仕切る “天狗屋” の頭・お役者晴司。良太ともども新人看護婦・麻世の手玉に取られ…

 主要キャラの一人お役者晴司と、晴司の後の相方麻世、診療所の娘・千恵子が初登場。

 晴司の舎弟ボウさんらしきキャラも登場。

 自分の血を見て失神するのは、今後も晴司の行動のルーティンとなる。


週刊漫画サンデー 1980年 4月 8日号掲載

マンサンコミックス 5巻 第5話  筑摩コミック文庫 3巻 第14話

● 桜木春助土産物屋 “こけし堂” 主人で元エロ事師。今は娘・芳江孫娘・陽子と同居。

● 志乃流れ者のエロ事の世話人

 たぬき小路のはずれでエロ事を営む流れ者の女・志乃は、春助のかつてのエロ事仲間・ラシャメンのお雪(雪江)の娘

 母娘2代に翻弄された春助はコケシを抱いて眠る…


週刊漫画サンデー 1980年 4月15日号掲載

マンサンコミックス 5巻 第6話  筑摩コミック文庫 3巻 第15話

● 直美良太達の同級生。迷いを断ち切り胡蝶姐さんを襲名する。

● ゲン – 煎餅屋 “鳴海屋” の息子直美とは微妙な関係??

● 直美の叔父直美が家を出るきっかけを作った直美の父の弟

直美の叔母 – 叔父の鬼嫁。“芸者” の直美を罵る

 芸者の道に入ったものの、迷いの時期を迎えている直美実の父母の墓参りで出会った叔父叔母に対して、直美「そうよ、わたしは芸者よ」と言い放つ。

 胡蝶” を襲名し吹っ切れたような直美だが、この後も迷いは絶えず、家出の常習犯となる…


週刊漫画サンデー 1980年 4月22日号掲載

マンサンコミックス 5巻 第7話  筑摩コミック文庫 3巻 第16話

● 千恵子九鬼谷診療所の院長の娘。真一に思いを寄せるが…

篠田真一 – 大学病院の医師。九鬼谷診療所に赴任する。

診療所の院長千恵子の父。

 婚約者がいるにも関わらず千恵子に迫る真一… 診察室で看護婦と浮気する院長… 千恵子生殖期を迎えて咲き誇る花の匂いに息苦しさを覚える…

 ちなみに… 久美子も少しずつ “女良太” の要素を出し始める…


週刊漫画サンデー 1980年 4月29日号掲載

マンサンコミックス 5巻 第8話  筑摩コミック文庫 4巻 第1話

● 猫柳菊之助猫柳流家元・猫柳玉三郎の息子。美少年。

 百合奴の誘いで日本舞踊を習うことになった良太ヒカルのブ男二人。家元の息子で美少年の菊之助は、良太に連れられ売春宿 “鶯” で女性を初体験するが…

 美少年キャラの菊之助はこの後一度だけ脇役として登場する。


週刊漫画サンデー 1980年 5月 6日号掲載

マンサンコミックス 5巻 第9話  筑摩コミック文庫 4巻 第2話

百合奴 – 同級生の英一を意識しながらも… 迷える美人芸者。

野島栄一 – 脚本家。百合奴との再会が機会で書き上げた脚本がテレビ新宿で採用される。

野島栄一テレビ新宿のディレクター。

 “湯の町芸者” の脚本がテレビ新宿で採用された英一は、ディレクターの熊田と共に九鬼谷に戻って来た。熊田は番組の存続の是非をネタに百合奴を求めて来るが、福助姐さんと良太の機転で…

 テレビ新宿のディレクター・熊田が初登場。

 権威を笠に着た、いけ好かないディレクター熊田も、気安く “おっちゃん” といなす良太九鬼谷温泉の気質に押されてか、今後は英一と百合奴達に協力的なキャラへ変貌していく。


週刊漫画サンデー 1980年 5月13日号掲載

マンサンコミックス 5巻 第10話  筑摩コミック文庫 4巻 第3話

ゆかり良太のいとこ。まんだら屋で女将見習い中。

松岡正剛 – まんだら屋の下足番。ゆかりとは良い仲に

中上欽二ゆかりの婚約者。山口の旅館の若旦那。

 婚約中にもかかわらず正剛と良い仲になってしまったゆかり。そんな中、突然婚約者の中上まんだら屋を訪れるが… 実は中上も望んでいなかった婚約は解消され、晴れてゆかりはフリーの身に??

 ゆかり今後もまんだら屋に残り正剛との腐れ縁(?)も継続することに…


週刊漫画サンデー 1980年 5月27日号掲載

マンサンコミックス 6巻 第1話  筑摩コミック文庫 4巻 第4話

月子の女友だちからデートの誘いを受けたわれらが良太、勇んででかけたのはいいのだが……

山吹丈二 –  良太月子が通う小倉城南高校のボクシングのキャプテン

 負けを知らない男・丈二は、試合前のルーティンの為に月子に目をつける。不安になった月子は、久美子の名を借りて丈二とデートの待ち合わせ場所喫茶 “人魚姫”良太を呼び出す…

 殴り合いでは到底丈二にはかなわない良太は、かなり汚く卑怯な手を使って月子の危機を救う。

 ラストシーンでは、障子越しに月子と良太は初めてのくちづけを交わす。


週刊漫画サンデー 1980年 6月 3日号掲載

マンサンコミックス 6巻 第2話  筑摩コミック文庫 4巻 第5話

福助(福)半農半妓の太っ腹芸者。今回の主役。

太郎福の夫。競馬に農業の売り上げをすべてつぎ込む。

太郎の父と母 – 太郎の夫婦と同居。父はボケ始めている。

 トラクターまで借金のカタに入れ競馬にのめり込む太郎を追って、良太と共に小倉競馬場へ。 案の定太郎は有り金すべてを無くすが…

 福助(福)持ち前の太っ腹で大金をはたいて勝負に出る。


週刊漫画サンデー 1980年 6月10日号掲載

マンサンコミックス 6巻 第3話  筑摩コミック文庫 4巻 第6話

ヒロシ – 良太の同級生。山中文房具屋の息子。

志村美穂 – ヒロシの同級生。志むらテニスクラブの娘。

 性悪女・美穂に翻弄されるうぶなヒロシの切ない物語。

 版画家川上澄生“はつ夏の風” に添えられた詩のロマンティシズムが、九鬼谷温泉での良太美穂が体現する通俗なリアリズムと対峙して描かれる。


週刊漫画サンデー 1980年 6月17日号掲載

マンサンコミックス 6巻 第4話  筑摩コミック文庫 4巻 第7話

老夫婦 – 夫は高分子学の権威接着剤のパテントを持つ

老夫婦の子供たち長男・幸一、次男・安二、長女・正子、四男。

千代 – 老夫婦の三男・雄三の妻。夫を亡くし今は未亡人。

 まんだら屋で毎年恒例の親睦会を開いた老夫婦とその子供達。全財産を子供たちに譲ることを決めた老夫婦だが… 長男、次男、長女、四男達は亡くなった三男の嫁・千代を相続対象から外そうとする。

 資産を持った親と、金目当てのその子供達… というプロットは、今後何度か形を変えて繰り返される。


週刊漫画サンデー 1980年 6月24日号掲載

マンサンコミックス 6巻 第5話  筑摩コミック文庫 4巻 第8話

● 三平 – 元暴走族。ヒロミと同居。

● ヒロミ三平の彼女。踊り子デビューする。

● 山田 “湯の町ヌード劇場” のオーナー。

● ローズ“湯の町ヌード劇場” の踊り子。山田の妻。

● アキラヒロミの浮気相手晴司の舎弟。

● お役者晴司 – 香具師 “天狗屋” の頭。

 暴走族上がりの三平ヒロミのカップル。ヒロミ山田ローズ姐さんを頼って “湯の町ヌード劇場” で踊り子デビューする。二人の仲に水を差すアキラに対して晴司は、“さすが” の立ち回りを見せる…

 三平ヒロミが初登場。お役者晴司二度目の登場。


週刊漫画サンデー 1980年 7月 1日号掲載

マンサンコミックス 6巻 第6話  筑摩コミック文庫 4巻 第9話

温泉につかったあと、漫才見物なんていうのは九鬼谷温泉じゃ「まんだら屋」にかぎるのだが!?

● 澤田隆治 – テレビ・ラジオ・プロデューサー。演芸番組の巨人。

● 小林信彦 – 小説家、放送作家。元祖おたく作家。

 まんだら屋で催された演芸会。トリの芸人が客席に見つけた大物プロデューサー澤田隆治の姿にヒビって姿をくらます。急遽代役を務めたのは、デコ助(良太)・コマ助(テツ)・春助“ザ・3助”!!

 澤田隆治小林信彦が実名で本人役として登場。ちなみに扉絵はエンタツ ・アチャコ(横山エンタツ ・花菱アチャコ)。

 後に、腐れ縁カップルとなるテツと久美子がこの演芸会場で初めて出会う。


週刊漫画サンデー 1980年 7月 8日号掲載

マンサンコミックス 6巻 第7話  筑摩コミック文庫 4巻 第10話

九鬼谷温泉名物・貴多本のまんじゅう屋には月子と同級生のまんじゅうのようなオイシイ娘が……

多本久美子温泉饅頭 “喜多本” の一人娘。

● 菊川登 “喜多本” のライバル “菊川” の息子。

 今回は、久美子が主人公。山田一郎の偽名を名乗り久美子に近づいたのは、“喜多本”とは “まんじゅう戦争” の敵役 “菊川” の息子・登。 “喜多本” に恨みを持つ登は、久美子の淡い恋心を利用し…

 久美子の危機を救ったのは、良太、月子、花子(?)に加えて、後の腐れ縁の相方・テツ!! 


週刊漫画サンデー 1980年 7月15日号掲載

マンサンコミックス 6巻 第8話  筑摩コミック文庫 4巻 第11話

男の喧嘩に仁義もクソもあるか~っ。ヤクザの力也は無鉄砲で一本気な男だ。きょうも血が…

力也 – 仮釈放中の天狗屋の舎弟

● 川原の妻と娘 – スナック “かわはら” で、服役中の夫を待つ親娘。

● チンピラ “仲良会” の下っ端。力也を逆恨みして…

 小倉の “仲良会” 系の金融屋 “ほがらか金融” ピンクサロン “チョメチョメ” が、九鬼谷温泉に進出。晴司の根回しをよそに暴走する力也だが… 

 晴司の舎弟の一人、と思われるキャラが初登場(ここではと呼ばれているが…)。


週刊漫画サンデー 1980年 7月22日号掲載

マンサンコミックス 6巻 第9話  筑摩コミック文庫 4巻 第12話

雨が降りだすとカサがいる。カサの中に男と女が入れば、それぞれのドラマが展開していく…

向井大作 –  妻の金を持ち出し、まんだら屋に逃避する崖っぷち版画家。

● 大作の妻 –  大作の子供を宿す。夫を訪ねてまんだら屋へ。

 コンクールに作家生命を賭ける大作。雲をつかもうとする様な夫に気をもむ。降りしきる雨を避ける相合傘が、危なげな二人の仲をかろうじて繋ぐ…

 ちなみに、良太月子の場合…

「世間の人がなんちゅうても、このカサの中はふたりの世界やの。エ~ おい!!」


週刊漫画サンデー 1980年 7月29日号掲載

マンサンコミックス 6巻 第10話  筑摩コミック文庫 4巻 第13話

きょうは鉄とネズミと良太の3人組がそろって、場ちがいな図書館にいったものだから……

山崎の妻 –  たかしの父の再婚相手。浮気癖有り。

● 山崎たかし –  ネズミ事を慕う小学生。新しい母を認めていない。

 カツアゲから救った小学生たかしの、家庭教師に収まったネズミ浮気性の人妻に入れあげ、思い込みで独り暴走するが…

 今回もネズミ実らぬ恋の物語


週刊漫画サンデー 1980年 8月 5日号掲載

マンサンコミックス 7巻 第1話  筑摩コミック文庫 4巻 第14話

愛する女のためなら……と、川上昇クンは海から九鬼谷温泉の「松風荘」まで泳いでいこうと……!?

愛子 –  麗子のいとこ。三萩野体育大学の水泳部員。

● 川上昇 –  愛子の交際相手。同じく水泳部に所属。

 愛子に求婚し断られたは、海から32キロ上流の「松風荘」のプールまで九鬼谷温泉を流れる紫川をさかのぼり再度プロポーズを図る。テレビ勝山の中継まで入り盛り上がるが…

 騒ぎに乗じて九鬼谷温泉までやってきたテツは、しっかり久美子にすり寄る…


週刊漫画サンデー 1980年 8月12日号掲載

マンサンコミックス 7巻 第2話  筑摩コミック文庫 4巻 第15話

アキラ –  本名は二階堂達也。

 九鬼谷温泉に大工としてやって来たアキラ… 実は逃亡中の建設省疑惑の重要参考人・二階堂達也直美アキラの仲に気をもむゲン

 今回は線香花火の様な、直美の束の間の恋の物語。


週刊漫画サンデー 1980年 8月19日号掲載

マンサンコミックス 7巻 第3話  筑摩コミック文庫 4巻 第16話

月子は青春を謳歌する17歳。乙女にとって夏の灼けるような日ざしはまぶしくも、むなしくもある……

藤田先生文芸部の顧問

邦子藤田の最初の教え子月子達より3年先輩のOG。

 九鬼谷・湯の沢キャンプ場に「私小説」の研究会でやってきた文芸部員達藤田邦子の関係を目撃してしまった月子と良太月子にとっての “私(小説)” とは… 

 「私は…腹が減った」「私は…眠たい」… あくまで本能のままの良太の “私(小説)”。

 「九鬼谷に生まれたことを悔やみます」… と独白しつつも、17歳の夏の一日を受け入れる月子の “私(小説)”。

 月子の後輩、文芸部の小山八郎が初登場。


週刊漫画サンデー 1980年 8月26日号掲載

マンサンコミックス 7巻 第4話  筑摩コミック文庫 5巻 第1話

九鬼谷温泉も真夏になれば、客足も少なくなり、いちばんヒマな時期になります。芸者さんも……

十郎八郎館の若旦那百合奴に結婚を申し込む。

具志川リナ – 西表島から恋人に会いに上京する。

 英一が脚本を担当する「湯の町芸者」の視聴率が伸びた為、百合奴良太テレビ新宿から招待を受ける。百合奴は上京をためらうが…

 十郎に迷いを見透かされた百合奴は、英一との結婚を決意良太と共に東京へ向かう。

 良太達の東京行の新幹線に同乗した具志川リナは、次話の主要キャラ。


週刊漫画サンデー 1980年 9月 2日号掲載

マンサンコミックス 7巻 第5話  筑摩コミック文庫 5巻 第2話

週刊漫画サンデー 1980年 9月 9日号掲載

マンサンコミックス 7巻 第5話  筑摩コミック文庫 5巻 第3話

具志川リナ – 西表島から恋人・洋三に会いに上京する。

照間洋三リナの恋人。傷害事件で引退した元プロボクサー。

黒い天使 – オカマの麻薬密売組織。

 洋三に会うため上京したリナは、良太や百合奴達と同じホテルに宿泊する。実はリサに西表島からアヘンを運ばせていた洋三。分裂した麻薬密売グループ・黒い天使洋三とリサを狙う。英一良太の兄元太テレビ新宿のプロデューサー・熊田も加わり、東京を舞台にテレビドラマの様な展開に…

 前・後編、2週にわたる長編・東京艶笑騒動譚


週刊漫画サンデー 1980年 9月16日号掲載

マンサンコミックス 7巻 第6話  筑摩コミック文庫 5巻 第4話

良太は兄の元太と、百合奴姐さんは英一さんと、久しぶりのご対面。夏の終わりの東京旅情編。

順子「湯の町芸者」のサブ・ディレクター。

池内志麻「湯の町芸者」の主演女優。

 百合奴英一良太元太熊田に招かれ、「湯の町芸者」の打ち上げパーティーに参加する。そこで出会った英一の東京での彼女・順子百合奴は…

 「湯の町芸者」は、めでたく第二部の継続が決定。英一はこの後、原宿のアパート九鬼谷の二か所を基点に仕事をすることになる。

 今回の上京を機に、百合奴と英一の仲は一気に進展する

 女優・池内志麻は、後に九鬼谷を訪れることに…


週刊漫画サンデー 1980年 9月23日号掲載

マンサンコミックス 7巻 第7話  筑摩コミック文庫 5巻 第5話

真利子 – 東京生まれの “夕月荘” の仲居。

 東京から戻った良太。東京かぶれで疎ましがられるが… 結局は…

 「バカタン! 東京だけが日本とちゃうど!!」

 良太の原宿土産のいかにも80年代風のスーツを着た月子が登場。


週刊漫画サンデー 1980年 9月30日号掲載

マンサンコミックス 7巻 第8話  筑摩コミック文庫 5巻 第6話

嵐山勘三郎 – 建設会社の老社長。

勘三郎の妾 – 長い石段の上の屋敷に囲われる、“一度死んだ” 女。

専務、部長勘三郎の息子達。

豆腐屋勘三郎の妾に徐々に惹かれていく。

 九鬼谷で一番高い場所に有る所有地に妾を囲う “嵐勘のおっちゃん” は、良太の歳で事業を起こし、かなり悪どい事もしてきたやり手老社長。自らのやり方が通用しづらい世の中になり、息子たちに会社を譲り会長に退く

 老人は一番高い場所にもにも背を向け、今の彼には長くなりすぎた石段を下る…

 自らを生きなおそうとする妾の凛とした表情立ち止まる老人の足元。一瞬迷いを見せる妾の表情。迷いを振り切ろうとする老人の表情… 最後のページで石段を下る老人の姿は、けして後ろ姿では無く、真正面から描かれる !

 このエピソードの要となる長く険しい “石段” を舞台とした、最後の2ページの描き方が秀逸な名作!!

 この長いシリーズの中では、永遠の17歳 “と言う止まった時の中に在る良太達の世界と並行して、時に抗う事無く去り行く老人達のエピソードも多く描かれる。


週刊漫画サンデー 1980年10月 7日号掲載

マンサンコミックス 7巻 第9話  筑摩コミック文庫 5巻 第7話

 テツの親が建てたマンション・小倉の “石田ハイツ” 。最上階のワンルームに暮らすことになったテツは、久美子を呼び出す。結局は部屋を引き払うことになったテツだが…

 この回からテツ久美子は急接近する。同時に久美子の “すけべ” キャラも炸裂し始める!  (が… まだまだ序の口…)


週刊漫画サンデー 1980年10月14日号掲載

マンサンコミックス 8巻 第1話  筑摩コミック文庫 5巻 第8話

 東京から戻った英一百合奴との新婚生活を始める。同居する直美は自分の居場所に悩むが… 吹っ切れた直美ゲンと…

 加速度的にパワフルな “すけべ” に変貌していく久美子とは対照的に、元祖 “すけべ” キャラ・直美は今後、悩みと迷いを抱え、 すけべ” の陰の部分を担う事になる。

 直美とゲンの仲も、今回少しだけ(?)進展する。


週刊漫画サンデー 1980年10月21日号掲載

マンサンコミックス 8巻 第2話  筑摩コミック文庫 5巻 第9話

多聞天蔵 – 晴司のかつての義兄弟。今は“仲良会” No.3

鬼頭 – 小倉の “仲良会” のNo.2晴司と天狗屋の宿敵となる。

能面の三次“仲良会” の舎弟。

 悪さを働くチンピラ三人組を諫める事で九鬼谷に切り込んで来た“仲良会” No.3多聞天蔵。かつての義兄弟・晴司と多聞の間には…

 さすが ! お役者 !! という立ち回りを演じた晴司だが… 今回も自分の血を見て失神する。

  “仲良会” 鬼頭多聞天蔵能面の三次が初登場。第57話ではと呼ばれていたが仕切りなおして(?)再登場。天狗屋の会長(?)夫婦はこの回だけの登場。


週刊漫画サンデー 1980年10月28日号掲載

マンサンコミックス 8巻 第3話  筑摩コミック文庫 5巻 第10話

三平が死に、小円遊も死んで、落語界はさびしくなった。ここ九鬼谷温泉の芸人たちの世界でも…。

美子 – 九鬼谷の大衆演劇場 “源泉館” の女主人。

金之助“源泉館” の舞台演出家。美子に思いを寄せる。

 経営が行き詰った “源泉館” のオーナー・美子の為に春助が台本を書き上げた芝居 “やもめ”春助美子へのプロポーズとも言える内容の舞台には、良太と月子も登場することになるが…

 結局春助は… 根っからの三枚目、笑われる男となる。

 “源泉館” の美子金之助が初登場。

 “源泉館(ゲンセンカン)” という屋号は、つげ義春の「ゲンセンカン主人」へのオマージュか??


週刊漫画サンデー 1980年11月 4日号掲載

マンサンコミックス 8巻 第4話  筑摩コミック文庫 5巻 第11話

良太の後輩・小山八郎が、月子を好きになった!! それを知った良太は、心中おだやかならず……。

 土曜日の放課後、体調を崩した月子を心配し九鬼谷の “夕月荘” にやって来た白鳥翼小山八郎大山小山、二人のデコ助がそろって月子に思いをよせるが…

 今回、翼も本格的に九鬼谷温泉デビュー。九鬼谷メンバー達の洗礼を受ける(?)。


週刊漫画サンデー 1980年11月11日号掲載

マンサンコミックス 8巻 第5話  筑摩コミック文庫 5巻 第12話

九鬼谷を流れる神喜川の主・鯉太郎と、釣り宿・川政のおじいちゃんの心あたたまるふれあい……

川政のじいちゃん – 釣り宿 “川政” のじいさん。

“川政” の息子でじいちゃんの孫

鯉太郎神喜川の主。3メートルの巨大な鯉。

 失業中のは釣り宿の息子にもかかわらず魚ぎらいの厄介者川政のじいちゃんは死期の迫った鯉太郎に自分自身を投影する。孫のは自ら鯉太郎となりじいちゃんの夢を繋ぐ…

 こうした心温まる人情噺にも、良太達は遠慮なくツッコミを入れてくる…


週刊漫画サンデー 1980年11月18日号掲載

マンサンコミックス 8巻 第6話  筑摩コミック文庫 5巻 第13話

ハンサムで知性的な大学生が、俗世で汚れたアカを落とそうと、九鬼谷温泉へやってきたが……

江藤 – 小倉中央大学・美術科のインテリ二枚目学生。

 卒論をまとめる為に九鬼谷を訪れた江藤“通俗” を蔑む江藤は、低俗の結晶・良太 “知的生活や美的節度の必要性” を教えようとするが… 結局、良太と月子“インテリの無力と二枚目の非力” を証明させられる。

 漱石・俳句・和歌・自然主義リアリズム・社会主義リアリズム・シュールレアリズム… それらを打ち砕いたのは… インテリの本棚には収まりきらない “九鬼谷温泉艶笑リアリズム” !?


週刊漫画サンデー 1980年11月25日号掲載

マンサンコミックス 8巻 第7話  筑摩コミック文庫 5巻 第14話

旅行専門誌「旅の友」の女性記者が、九鬼谷に取材にやってきた。まんだら屋に逗留するが……。

彩子旅行専門誌「旅の友」の女性記者

池さん“九鬼谷通信社” のイラスト担当。

 旅行専門誌「旅の友」の特集記事 “九鬼谷マップ” の制作の為にやってきた彩子と、九鬼谷通信社池さんは、かつての東京での仕事仲間微妙な関係の二人… 記事を仕上げた彩子は自分自身の青写真を仕上げる為、池さんの暮らす九鬼谷に留まる事に…

 “九鬼谷通信社”池さんが初登場。


週刊漫画サンデー 1980年12月 2日号掲載

マンサンコミックス 8巻 第8話  筑摩コミック文庫 5巻 第15話

通学電車の中で、翼ちゃんが痴漢におそわれた。犯人をつかまえようとはりきる良太だが……

田中路面電車の老整備士早うちマスクの異名を持つ痴漢常習犯

 廃線間近の路面電車の車中で、通学中のが痴漢に会った。良太テツ “いっけん純情派、そのジツ、ドスケベ” 久美子をおとりに犯人を捜そうとするが…

 ここでも、自ら整備士として溺愛していた路面電車の廃線と共に、去り行く老人が描かれる。


週刊漫画サンデー 1980年12月 9日号掲載

マンサンコミックス 8巻 第9話  筑摩コミック文庫 5巻 第16話

ゆかりと正剛、節子と謙一郎。ふたつのカップル同士の仲がこじれて、妙なぐあいの四角関係に…

セッちゃん(節子)“まんだら屋” の仲居。お役者晴司の妹

ケン(高橋謙一郎)“まんだら屋” の従業員。

  ケンに思いを寄せるセッちゃん、正剛セッちゃんの仲を疑うゆかり。二組の男女の仲が微妙にすれ違う… 

 結局、 ケンセッちゃんの仲は修復されるが、正剛ゆかりの仲は未だ微妙な関係…

 お役者晴司の妹・セッちゃん(節子)ケン(高橋謙一郎) が初登場。


週刊漫画サンデー 1980年12月16日号掲載

マンサンコミックス 8巻 第10話  筑摩コミック文庫 6巻 第1話

西日本を代表するストリッパー・三条まゆみが九鬼谷温泉にやってきた。さっそく、良太は…

キヨシ春助の娘・芳江の別れた夫。

三条まゆみ – 西日本を代表するストリッパー。

 “湯の町ヌード劇場” に出演する三条まゆみ一座のマネージャーとして九鬼谷温泉に戻って来たキヨシ娘の芳江孫の陽子を捨てた元夫・キヨシ春助は…

 “人として失格” したキヨシ良太。しかし… なんだかんだで、共に 人間合格” となる。

 芳江の夫・キヨシが初登場。

 キヨシはこの後、芳江とよりを戻し娘の陽子と共に春助と同居する。


週刊漫画サンデー 1980年12月23日号掲載

マンサンコミックス 9巻 第1話  筑摩コミック文庫 6巻 第2話

暴れ者の咲太郎にも、たったひとつ弱みがある。酒をくらっても芸者・直美には勝てぬ……

花田咲太郎 – 酒乱で乱暴者の花屋の息子。

 直美にだけは頭が上がらない咲太郎仲良会のチンピラともめ事を起こすが…

 フラワーショップの咲太郎が初登場。

 「おなじ男は飽きるなあ。金もとれんし…」いまだに直美の浮気性は治っていない…


週刊漫画サンデー 1980年12月30日号掲載

マンサンコミックス 9巻 第2話  筑摩コミック文庫 6巻 第3話

大原大手資本 “エイコー” に吸収合併されるスーパーの社長。

明子“まんだら屋” の仲居。の母。

横田 “夕月荘” の従業員。

明子の息子。母と横田の関係に戸惑う。

内田大原の部下。

 “まんだら屋” で恒例の忘年会を催した大原は、良太の母・ヨネのかつての恋人。修の母・明子横田との再婚を考えるが、母と横田の関係を目撃してしまった修は…

 ヨネ明子、二人の “母” をめぐる物語…


 

 以上が1980年発表の50作。まだまだ全作品の5分の1にも達していない… 

 今後も様々な主要キャラクターが登場し、九鬼谷温泉艶笑騒動譚の世界に更なる膨らみを持たせていく事となる…

 今後もスローペースではありますが、なんとか全483話を紹介していきたいと考えておりますので、気長にお付き合い頂けれは幸いです…

 (しかし… 我ながら… えらい事を始めてしまった…)

 

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